
社長や室長がかつて手がけた現場が、ゲームの問題として画面に映し出される。すると当時の思い出や裏話が次々に語られ、若手社員がその話に耳を傾ける。西松建設の技術戦略室DX企画部が、SCARZとともに実施した社内イベント「N JOY CUP」の一場面である。全国の現場に分かれて働く社員を、自社の現場を題材にしたゲームでどうつないだのか。繁忙期との重なりや集客の苦戦といった壁に、どう向き合ったのか。西松建設様のご担当者様3名に聞いた。
写真左から、中村(SCARZ)、古谷(SCARZ)、若林(SCARZ)、高橋様(西松建設)、志賀様(西松建設)、中山様(西松建設)
導入サービス
社内eスポーツイベント支援
実施事項
社内eスポーツイベント「N JOY CUP」の企画・運営
お話を聞いた人
西松建設株式会社
高橋様(技術戦略室 DX企画部長)
志賀様(技術戦略室 DX企画部 DX企画課係長)
中山様(技術戦略室 DX企画部 DX企画課)
目的:社員のエンゲージメント向上と、デジタル人財の採用
決め手:自社の課題や事業を踏まえた提案と、一緒に動いてくれる姿勢
取り組み:GeoGuessr(ジオゲッサー)を使ったオフラインイベントと、オンラインイベント
効果:社長や室長が自らの現場を語り、若手が聞く対話が生まれた。延べ約600名の参加
はじめに、DX企画部長の高橋氏に、西松建設の事業について聞いた。
Q. 西松建設様は、どのような事業をしている会社ですか。
高橋氏:主力は建設事業で、なかでも土木に強みを持つ会社です。高速道路やダム、トンネルといったインフラの整備を中心に全国で現場を運営し、多くの自治体や官公庁と仕事をしています。建築では、物流倉庫や都内の大型再開発が強みです。
出発点は、採用と社員同士のつながりという2つの課題だった。採用も視野に入れつつ、まずは社内向けのイベントから始めることになった。

Q. 取り組みのきっかけを教えてください。
志賀氏:一つは採用です。eスポーツはデジタル人財と相性がよく、これまで接点のなかった学生にも当社を知ってもらえると考えました。もう一つは社員同士のつながりです。当社は各地に現場があるため、離れて働く社員は孤独を感じやすい可能性があります。その距離を縮めることで、エンゲージメントを高めたいと考えました。部門内でも以前から、eスポーツで何かできないかと検討していました。
Q. SCARZとの取り組みは、どのように始まったのですか。
志賀氏:eスポーツを活用した取り組みを検討し、いろいろな会社から話を聞いていたところに、SCARZさんからお話をいただきました。
ゲームに詳しくない西松建設がパートナーに求めたのは、やりたいことを形にしてくれる一歩先の提案だった。決め手は、自社の課題や事業まで踏まえて考えてくれたこと。その象徴が、風景の画像から撮影場所を当てるゲーム「GeoGuessr(ジオゲッサー)」の提案だった。
Q. パートナーには、何を求めていましたか。
志賀氏:私たちはeスポーツやゲームに詳しくないので、やりたいことはあっても、自分たちだけでは形にできません。求めていたのは、自社の都合を押し付けるのではなく、当社が本当にやりたいことの本質を汲み取り、一歩先の提案をしてくれる相手でした。
高橋氏:私もゲームはプレイしないので、詳しくありません。ですから、どんどん進めて、動いてくれる相手は助かります。実際にそういう動きをしていただいたので、非常に良かったと思っています。
Q. SCARZの提案で、印象に残っていることはありますか。
志賀氏:SCARZさんからは最初、別のゲームを提案いただいていました。それが翌週にはガラッと変わり、「建設業に合うのでは」とGeoGuessrを紹介してくれました。当社の課題ややりたいこと、さらには事業そのものまで考えてくれたことが伝わり、強く印象に残っています。

西松建設が開いたのは、自社の施工物件をGeoGuessrで出題するオフラインイベントである。従業員を広く巻き込むべく企画の組み直しを行い、浸透を図るためのメッセージや伝え方にも工夫を凝らした。
Q. どんな取り組みをしたのですか。
志賀氏:社内イベント「N JOY CUP」として、社員が一か所に集まるオフラインイベントを開きました。全国にある当社の施工物件をGeoGuessrで出題し、みんなで画面を見ながら、どこの現場かを当てていくものです。社長やコーポレート室の室長にもご参加いただきました。ねらいは、ゲームを通じて自社を知ってもらうことです。

Q. 企画は、最初からこの形だったのですか。
志賀氏:いえ、当初は麻雀ゲーム「雀魂(じゃんたま)」とGeoGuessrの2本立てで、オンラインでの開催を中心に考えていました。ただ、オンラインだけでは社内に広がりにくいと、途中で判断しました。みんなで集まり、会話しながら楽しめる場が必要だと考え、オフラインイベントも開くことにしました。この発想は、SCARZの皆さんがいなければ生まれませんでした。
中山氏:雀魂ではコア層の熱い対局も生まれましたが、1試合が長く4人をそろえる必要もあり、ライトな層には参加のハードルが高かったと思います。そこで、短時間で直感的に遊べるGeoGuessrを主軸に、企画を組み直しました。
Q. 社内の反応はいかがでしたか。また、忙しい時期に、どのように伝えたのですか。
高橋氏:ポジティブな反応が多かった一方で、開催時期が決算期や社内の重要案件と重なり、現場も余裕がない時期でした。ですので、関係者を丁寧に巻き込みながら進めました。
志賀氏:告知には、ポスターやメルマガ、社内SNSを使いました。メルマガは期間中の3か月間、毎週配信しています。忙しい時期だったので、ただの遊びと受け取られないよう、言葉選びには気を配りました。
中山氏:当初は全社への周知には苦労しましたね。口コミで自然に広がることを期待していましたが、実際は社内メールやチラシの配布など、人手による呼び込みが中心でした。

画像説明:社内告知用のポスター(左)とメールマガジン(右)
オフラインイベントでは、社長や室長が自らの現場を語り、若手がそれに耳を傾ける場面が生まれた。参加者は、オンラインを含めて延べ587名にのぼる。
Q. イベントでは、どのようなことが起き、参加者からはどのような声がありましたか。
志賀氏:オフラインイベントでは、社長の物件、室長の物件というように、過去の現場を問題に出しました。画面に映しながら皆で遊んでいると、社長たちが当時の思い出や、いろいろな裏話を話し始めました。若手社員にとっては、ふだんあまり話せない立場の人の話を聞ける場になりました。参加者からも、上層部の人たちの裏話を聞けてよかったという声が多かったです。

高橋氏:イベントは良かったと思います。初対面の社員同士もニコニコしゃべりながら、つながっていた。役員の評価も、意外と良かったようです。
中山氏:想定以上だったのは、GeoGuessrと自社物件の掛け合わせです。ベテランの技術や体験談を若手に受け継ぐという社内の課題に対して、楽しみながら世代を越えて対話するツールになりました。また、社長や室長の方が自ら施工物件を語ってくださったことで、トップも認める取り組みだと社員に伝わったと思います。あくまで印象ですが、社員の反応はかなり変わりました。
Q. 定量的な成果は、いかがでしたか。
志賀氏:オンラインで参加してくださった方も含めて、延べ587名の参加がありました。KPIは、参加者数だけでなく、若手の参加率など、いくつかの指標を設定しています。何をどう数えるか、何をもって達成とするかを事前に決めていたので、効果測定はスムーズに進みました。
西松建設が次に見据えるのは、取り組みの裾野を広げ、採用につなげることである。あわせて、同じ取り組みを考える企業へのヒントも聞いた。
Q. eスポーツの活用を検討する企業に、何を伝えたいですか。
高橋氏:経営層を巻き込むことが、何より大切だと感じています。経営層が関わってくれるかどうかで、社内の流れはかなり変わりますから。
志賀氏:根回しと、目的をはっきりさせることです。当社のように「建設業でやる意味はあるのか」と問われる会社では、「楽しそう」だけでは進められません。何のために、どこまでやり、どんな効果を見込むのか。計画の段階で固めておく必要があります。
中山氏:実務まで担ってくれるパートナーを巻き込むことと、ゲームをしない人も参加しやすくすることです。本業がある事業会社では、少人数でイベントのすべてをまかなうのは難しい。今回も、重視していたのはゲーマー以外をどれだけ巻き込めるかでした。
Q. 今後の展望を教えてください。
高橋氏:オフラインイベントの力は、想定以上でした。一方で、オンラインでつながり続けることの難しさも実感しています。オフラインとオンライン、それぞれの良さをどう組み合わせるかは、引き続き考えていきます。今後は、情報系職種の採用につながる施策にも取り組んでいきたいと考えています。

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西松建設株式会社
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建設業界
SCOPE
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株式会社アルテクナ
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会社名
西松建設株式会社
業界
建設業界
事業
建設事業、開発事業、不動産事業 ほか
従業員規模
単体3,036人(2026年3月末現在、臨時従業員含む)
創業年
1874年
エリア
全国
URL
https://www.nishimatsu.co.jp/

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